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童話。 ちょっとだけ、スピリチュアル。
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メスの ドレイコから きかされた はなし・・


「ニンゲンが じぶんに こどもを つくらせたいと ねがっている」


エルドは それから ずっと いやな きぶんで いました。



いつもは おいしく かんじる くうきも

なにひとつ あじが わかりません。



けんきゅうじょの しいくいんたちは げんきを なくして

やせていく エルドを しんぱいして 

しいくしつに いたときと おなじ えさを ようい しました。



「こんなに きゅうに やせて しまって・・

 びょうきらしい ようすは ないのに。

 えさを たべて ほしいのに・・ それも だめ となると・・」



そんな エルドの ようすを きかされた ドクターカエルは

ぐあいを かくにんに おくがいに やってきました。




ぎんいろの エルドの からだは ひとまわり ちいさくなり

げんきが なくなっているのが わかりました。


ときどき もそもそと くちを うごかすのですが

たちあがろうとは しないで くさはらに まるまって ねころんで いるだけ・・・




「エルド・・ どうしたの。

 びょうき・・ では なさそうだけど。

 どうして えさを とらないの? やせてしまって・・こんなに。」




カエルの こえと においに エルドは くびを もちあげて ふりむきました。



いきおいよく たちあがり おおきく つばさを ひろげると

はばたかせて みせました。



「・・・ まあ・・ むりを しないで いいのに。。。

 エルド・・ あなたには しょくじが いるのよ?

 さあ、 すこしで いいから・・ たべて。」



カエルが えさの はいった おおきな いれものを ゆびさし ましたが・・




エルドは それには めを くれずに

おおきく しんこきゅうを しました。



くうきに おいしさが かんじられます。

おなかが みたされるのを かんじます。




やっと・・ あいたかった カエルが きてくれたのです・・


うれしくて うれしくて 

カエルの まわりを ぐるぐると あるいては

はなさきを カエルに くっつけて あまえました。


やさしい おはなの ような においが

その ふく から かおります。


ちいさいときから だいすきな カエルの におい。




ドクターカエルは エルドの かおを みつめながら

その ぎんいろの からだを なでました。

つるりと なめらかな うろこのない はだは

ゴムのようにも きんぞくのようにも かんじられます。




「あなたに はなしが あるのよ。 エルド。

 わたしの ことばは わかるわね?



 みんなが かわいい あかちゃんの ドレイコを

 エルドに つくって ほしいって おもっているの。


 おなじ ドレイコの おんなのこ と なかよく して ほしいの。



 あなたは きれいな ドレイコだから・・

 あなたの あかちゃんも きっと きれいで かわいいはずよ。


 ほかの ドレイコの おんなのこ は きっと あなたが すきよ?」





エルドは きこえないふりを つづけながら カエルの ふくに

はなさきを おしつけて あまえ つづけました。



おおきな からだを カエルの まえに よこたえて

(なでて・・ おなかを・・)と あまえます。




「もう。。。 エルドったら・・ はなしを きいてないでしょ?」



カエルは くすくす わらいながら エルドを なでます。





でも。 エルドには すべて きこえていたし わかって いました。



(いくら・・ カエルの おねがいごと だと しても。

 ぼくは ほかの ドレイコに きょうみは ないんだよ。

 こどもなら ほかの ドレイコたちに うませれば いい。

 ぼくは いやだからね・・ そんなの いやだからね・・)




おじいさんドクターが そこに やってきました。


「エルド・・と なづけて いたんだね。 【ナンバー10】に。」



カエルは まっかに なって ふりかえりました・・




「・・ もうしわけ ありません・・

 でも・・ このこは やっぱり・・ わたしには とくべつなので・・」



おじいさんドクターは にこりと しながら 


「いいんだ。 ほかの ドクターたちも それぞれ 

 じぶんの かんりしている ドレイコに なまえを つけてるのは・・

 わたしも きづいていたよ。 せめては いない。」




ひとまわり ちいさくなって しまった エルドの すがたを みました。


「やせたな・・ ずいぶん。 びょうきは なさそうかい?」



「はい。 やせていますが、げんきです。

 こうはいは もうすこし からだの ちょうしが あんてい してから でも

 いいのでは ないでしょうか??」




おじいさんドクターは エルドを さわりました。


エルドは すこし からだを すくめて けいかいしました。



「ちかいうちに・・ おくがいに ゲージを つくって・・

 【ナンバー10】は そこに メスと いっしょに 

 かくりを しようと かんがえて いる。


 ドレイコって せいめいたいは なにしろ わからない こと ばかりだ。

 そうでも しなければ  あいてに かんしんすら しめさないのではないかな・・」



エルドは いしの ように みうごきせず その ことばを きいて いました。


「そうしたら・・ また このこは やせてしまします・・ ストレスで・・」



ドクターカエルの そのことばに おじいさんドクターは わらいました。



「ゲージが なくても やせたんだよ? この ドレイコは。



 まして、 はじめて おくがいに だしたときは 

 わざわざ もとの しいくしつに にげもどる ほど だっただろう?・・


 ひろい ところ が にがて なのだろう。 おそらくな。」




おじいさんドクターは エルドの みどりいろの ひとみを みつめました。



「ドレイコたちは ちのうが いような ほど たかい。

 わたしたちの はなすことば すべてを りかい している。

 こうして きみに あまえて・・

 【わかっていない ふり】を するほどに な・・」



エルドは みどりいろの ひとみに いらだちを ふくんだ いろを うかべました。



「やはり・・ わかっているんだな。 おまえ。」



 エルドの はなさきを おじいさんドクターは

ごしごしと こするように なでました。



「ドクターカエル。 みてごらん・・

 さっきと ひょうじょうが ちがうだろう。

 ドレイコはな? 【わかっている】んだ。 われわれの かんがえが。」



エルドは ひくく うなりました。



「もう、おまえも いちにんまえ、だ。 そうだな。 【エルド】

 こどもの じだいは おわりなんだ。

 ドクターカエルに べったり あまえる のも そろそろ おわりだぞ。」



エルドは おじいさんドクターの いうことばに ふまんを おぼえました。



「・・・こどもを つくるんだ。 いいな? 

 それが おまえの やくわりなんだ。」



おじいさんドクターは エルドの ひとみを みすえて いいきかせました。



エルドは ねころがり きいていない ふりを しました。



「ドクターカエル。 じゅんびを しよう。 いっしょに きなさい・・」




なんども ふりむきながら とおざかる カエルのすがたを


とても いとおしい きもちで みつめる エルドでした。




(ぼくの やくわり? ぼくである ひつよう なんて ない だろう?)




いぜん あかい メスの ドレイコに きかされた ことば・・


(・・あんたが いちばん きたい されて いるんだよ・・)



 
エルドには わかりません。


どうして じぶんに きたいなど するのか・・



ニンゲンの おもいの ふかい ところ までは

どんなに かしこい エルドにも わからない こと でした。






 



 



**つづく**



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